函館マラソン
2022年7月2日で、開院して1年と8か月が経過しました。この日までに、6155名の新規の患者様が来院され、1521件の手術(白内障手術は1481件)を施行させていただきました。現在の白内障手術の待期期間は1か月以内であり、より多くの患者様により早く明るい世界を取り戻していただけるように、スタッフ一同真心を込めて全力で頑張っております。
さて、私は、7月3日に函館市で開催された『2022函館マラソン』に参加してまいりました。コロナ禍で2020年以降、全国各地でマラソン大会の中止が相次いでおりましたが、ここ最近、徐々に各地で開催されるようになってきました。函館マラソンも3年ぶりの開催、私自身も2019年11月24日の『第39回つくばマラソン』以来およそ2年7か月ぶりの現地開催大会への参加、函館マラソンは初めての参加となりました。尚、大会への参加には新型コロナウイルス感染対策の徹底が義務付けられ、参加者にはワクチンの接種証明や直前のウイルス抗原検査の結果の提示などが求められます。この日の函館市の日中の最高気温は29.8℃、最高湿度90%以上という厳しい条件でしたが、何とか通算20回目のフルマラソン42.195㎞完走を果たすことができました。レースに臨むときは、いつも自己ベスト更新を目指してスタートラインに立つのですが、今回のタイムは自己ベストどころか、自己ワーストに近いほどのボロボロのタイムとなってしまいました。本当に暑くて本当に苦しいレースでしたが、久しぶりに現地開催のフルマラソンを完走でき、久しぶりに達成感を味わうことができました。
函館は、以前にもブログでご紹介させていただきましたが、私が高校時代の3年間を過ごした思い出の地でもあります。その3年間は寮生活で、当時はほとんど外出することがなく、たまの外出も学校の最寄りの市電駅である湯の川駅から函館駅前までの道のり程度であり、その他の地区に足を運んだことは皆無であり、函館の町の全体像をつかむことなく卒業を迎えました。今回のマラソンでは、観光名所のみならず民家が立ち並ぶ町中を通り抜けることもでき、さらには、地元の方々の沿道からの懐かしい函館弁での声援も相まって、函館の人々の生活の雰囲気や匂いのようなものを肌で感じられるようで感慨深いものがありました。
フルマラソンは、いつ走っても過酷です。特に30キロを過ぎるとキツさは最高潮となり、「せっかくの休日なのに、なんでこんな苦しいことやってるんだろう。」とか「もう、完走もタイムもどうでもいいからやめてしまおうか。」という悪魔の囁きが何度も押し寄せてくるのですが、「ここを頑張って乗り越えて完走したら、昨日より強い自分になれるかもしれない。」、「ここであきらめたら、家族に示しがつかない。」、「苦しみ、もがいて、ボロボロになってでもやり遂げる姿や結果を、子供たちに、家族に、見せたり伝えたりすることができれば、これからの人生における勇気をほんのわずかでも与えられるのではないか。」といった思いで、自分を奮い立たせて、なんとか弱い自分と闘って、ゴールを目指します(もちろん、マラソンは無理をすると命を落としてしまう可能性もあるスポーツなので、止める勇気も必要であることはわきまえております。)。普段の診療の中では、様々な形で悩み苦しむような場面に遭遇することがあり、苦しいマラソンの後半の場面や心情を思い起こして自分を奮い立たせるようなこともよくあります。そんなときは、自分の診療や人生において、フルマラソンを走ったことが精神的にも体力的にも少しは役に立っているのではないかと思えたりもします。
これから歳を重ねるにつれ体力は落ちていきますので、自己ベストタイムの更新は難しくなっていくと思いますが、なんとかそれに打ち克って自己ベスト更新ができるように努力を続けていきたいと思っております。その結果として、肉体的スタミナと精神的スタミナを強化できたり維持できたりすることができれば、より良い診療をより長く続けられることにつながるのではないかと考えております。
今大会では、自身の予想タイムよりも大幅に遅いゴールとなってしまったために、帰りの飛行機に乗り遅れそうな状況となってしまいました。マラソン会場から函館空港までは市電とバスを乗り継いでいく予定でしたが、そんな余裕はなくタクシーに飛び乗りました。それでも絶望的な状況(もし乗り遅れると、飛行機の乗り継ぎでその日のうちに女満別空港までたどり着くことはできなくなり、その場合は、次の便で札幌まで行き、そこから都市間バスやレンタカーを駆使して北見に帰るつもりでした。)だったのですが、タクシーの運転手さんの見事なコース取りのお陰で、まさにぎりぎりのタイミングでしたが飛行機に乗ることができました。運転手さんには、大感謝です。急いでいる道中でしたが、その運転手さんは、マラソンの話題にも触れて下さり、「暑くて大変だったでしょう。」とねぎらいの言葉を掛けて下さいました。さらに話が弾んでいく中で、運転手さんの息子さんもランナーであることや、お孫さんが私の母校の中等部に通われていることなどもお話して下さり、急ぐ中でも楽しいひと時となりました。急いでいても、しっかり安全運転、しかも楽しく会話をしてくださる余裕も持たれている、まさにプロフェッショナルだと感心させられました。