新しい多焦点眼内レンズ『テクニス ピュアシー』
2025年8月2日で、開院して4年9か月が経過しました。この日までに、14090名の新規の患者様が来院され、4435件の手術を施行させていただきました。
2025年6月20日に、エイエムオー・ジャパン社から、新しい多焦点眼内レンズ『テクニス ピュアシー』が発売となり、当院でも採用となりました。
白内障手術において、白内障を取り除いた後に眼内に眼内レンズ(人工水晶体)を挿入しますが、眼内レンズには、『単焦点レンズ』と『多焦点レンズ』が存在します。
『単焦点レンズ』は、眼鏡をかけない裸眼の状態でピントが合う範囲が狭い(遠方か中間か近方かのいずれか)タイプのレンズですが、それ以外の距離も眼鏡をかければ鮮明に見ることができ、保険診療で挿入ことができます。
『多焦点レンズ』は、眼鏡をかけなくても遠方から近方まで幅広くピントを合わせることができるタイプのレンズですが、単焦点レンズに比べ、鮮明さがやや劣り(コントラスト感度の低下)、夜間光がにじんで見えてしまう(ハロー現象・グレア現象)という欠点があり、かつ保険診療で挿入することはできず、各眼数十万円の追加料金が必要(選定療養)となります。最新のデータでは、我が国において、白内障手術を受けた全患者さんのうち、『多焦点レンズ』を挿入された患者さんの割合は4%です。
『多焦点レンズ』にも様々な種類のものが存在し、毎年のように各メーカーから新たなレンズが発売されてております。
『テクニス ピュアシー』は『焦点深度拡張型』というタイプで、メガネなしでも遠方(5m以上)~中間~近方(1m~50cm)にかけてピントが合うレンズで、手元(40~30cm)はメガネが必要ですが、多焦点レンズ特有の欠点(コントラスト感度低下・ハロー現象・グレア現象)が少ないとされています。
『焦点深度拡張型』の多焦点レンズは、これまでも同社から『テクニス シンフォニー』というレンズが発売されておりますが、『テクニス ピュアシー』は、単焦点レンズと遜色ないほどに、多焦点レンズの欠点が少ないとされています。『テクニス シンフォニー』を上回る高い精度の見え方が実現されるとされています。
多くの多焦点レンズは、単焦点レンズと違い、レンズに“木の年輪のような”細かい溝が幾重にも刻まれ、それによって遠くから近くまで幅広く裸眼でピントが合わせられる仕組みになっています。そのような構造の多焦点レンズを『回折型多焦点レンズ』と言います。『回折型多焦点レンズ』は、眼球の中に入ってきた光が、レンズに刻まれた何重もの溝にぶつかり散乱してしまうため、鮮明さがやや劣り(コントラスト感度の低下)、夜間光がにじんで見えてしまう(ハロー現象・グレア現象)という多焦点レンズの欠点が生じてしまうのです。
『テクニス シンフォニー』も『回折型多焦点レンズ』ですが、『テクニス ピュアシー』は、レンズに“木の年輪のような”細かい溝がない構造の『非回折型多焦点レンズ』です。そのため、眼球の中に入ってきた光が溝にぶつかり散乱するという現象が生じないため、単焦点レンズと同じように、鮮明で(高いコントラスト感度)、夜間光がにじまない(ハロー現象・グレア現象が生じない)見え方が得られるのです。
回折型の多焦点眼内レンズは、鮮明さがやや劣り(コントラスト感度の低下)、夜間光がにじんで見えてしまう(ハロー現象・グレア現象)欠点があるため、ドライバーさんなど夜間に運転することが多い方には推奨されないのですが、『非回折型多焦点レンズ』である『テクニス ピュアシー』は夜間に運転することが多い方にもおすすめできるレンズです。
ただし、メガネなしでピントが合うのは遠方から50cm位までで、手元(40~30cm)はメガネが必要です。
メガネなしでも遠方(5m以上)・中間~近方(1m~50cm)・手元(40~30cm)と幅広くピントが合うこと(メガネをできるだけかけない生活)を希望される方は、鮮明さがやや劣り(コントラスト感度の低下)、夜間光がにじんで見えてしまう(ハロー現象・グレア現象)という多焦点レンズの欠点が伴うことをご了承の上で、『連続焦点型』の『テクニス オデッセイ』または『三焦点型』の『クラレオン パンオプティクス』が選択肢となります。
多焦点レンズは、白内障手術を受けることを機に、裸眼で特に近方が見えづらくなる(ピントが合わせられる幅が狭まる)いわゆる老視・老眼を軽減することに寄与することが可能な眼内レンズですが、今回、また新たなラインナップが加わりました。
ご興味のある方は、随時、当院を受診され、問い合わせください。


