2025年診療納め
2025年12月26日、菅原眼科は、この日で2025年の全ての診療を終了し、“診療納め”となりました。
2020年11月2日に開院してから、この日までに15049名の新規の患者様が来院され、4772件の手術を施行させていただきました。
まずは、今年一年、大きな事故もなく診療を続けることができたことに大感謝です。当院のスタッフはもちろんですが、様々な形で当院に関わって下さった全ての関係者の方々に、心より深く感謝の意を表したいと思います。本当にありがとうございました。
2025年を振り返って、私の心に思い浮かぶ出来事としては、「物価高・物価上昇」です。とにかく、色々な物、ありとあらゆる物の値段が、どんどん上がり、それは今現在も衰える気配がありません。
物価高・物価上昇は、医療分野も例外ではありません。医療を続けていくためには絶えずお金がかかります。電気、水、消毒薬、検査薬、針、ガーゼ、綿棒などの診療材料、道具を洗うための洗剤、道具を滅菌(ばい菌がついていない状態にするための処理)するための包装紙、手術用のメスや薬剤など。診療を行っている間の毎秒毎秒に常にお金がかかり続けています。
常にお金がかかり続けることは、他の業種でも同じですが、医療には他の業種とは大きく異なる点があります。それは、医療行為それぞれの値段(診療報酬といいます)が、国によって一定の金額に決められており、病院の判断で変えることができないということです。
他の業種では、ある商品を作るためにかかる物の値段が上がれば、値段を高くしたり、内容量を少なくしたり、商品の質を下げたりするなどして、すぐに対応することがそれほど困難ではないと想像します。
それに対して医療は、それぞれの医療行為を行うために必要な物の値段がいくら上がっても、国が定めた値段を勝手に変えられません。仮に勝手に値段を変えて患者さんから多く支払いいただいた場合は、国から罰せられることになります。さらには、お金がかかるからといって、質を落とした医療を行えば、病気や怪我を治すことができず、患者さんを不幸に陥れることになってしまいますので、経費の削減にも限界があります。
医療の値段の改定(診療報酬改定)は2年に一回しか行われませんので、2年の間はどんなに情勢が変わっても反映されることはなく変わりません。昨今は物価高・物価上昇があまりにも急激に起こっているため、経営が圧迫される医療機関が全国各地でどんどん増えているようです。名だたる大学病院ですら例外ではないというニュースも最近よく耳にします。
次の診療報酬改定は来年2026年春に行われる予定です。現在、それに向けて、医療界全体が国に対して、厳しい情勢を訴え、理解を促し、診療報酬を高くするよう求める動きが盛んに行われております。その努力の結果、12年ぶりに診療報酬全体が上がる見込みとなりました。
これまでの12年間は、国全体の財政状況が厳しく、医療にお金をかけ過ぎているという理由で、診療報酬全体が下げられ続けていました。それ故に、今回のいわゆる“プラス改定”の動きは大変大きな変化です。現在報道されている上昇幅は決して十分とは言えないようですが、それでも医療業界にとってはありがたいニュースということになります。
現在の日本の医療制度は、他の国々と比べると、非常に恵まれている制度と言われています。それは、全ての国民が平等に同じ金額で高い水準の医療を受けられるからです。
諸外国の中には、個々人が加入している民間会社の医療保険のレベルによって受けられる治療が異なり(国はお金を払ってくれない)、例えば、ある病気にかかった際に、「あなたが加入している医療保険のランクだと、Aの治療までは受けられるが、より効果が期待できるBの治療は受けられません。」と告げられそうです。つまりは、普段から高い医療保険に加入できている収入の高い人と、それに加入できない収入の低い人とで、受けられる医療のレベルが違うということです。
それに対して、日本は、基本的に命や健康を保つために必要不可欠な医療行為は、全国民が同じレベルで受けられる制度を国が作ってくれています。例外的に、自由診療(100%患者さんの自己負担)や選定療養(保険で賄えない部分を患者さんが自己負担)という医療行為もありますが、それらはあくまで、命や健康を担保する医療に上乗せをするための医療です。
国が医療分野へのお金を減らし続けると、医療の質が落ちたり、運営が立ち行かなくなる医療機関が増えるなどの事態が生じたり、さらには地域間および診療科間における医師の偏在を助長することにも繋がり、最終的に、せっかく先人が築いてくれた素晴らしい日本の医療制度が崩壊に向かってしまいます。
医療は、人々が生きていくために必要不可欠な分野です。どんなに便利な世の中になっても心身の健康なしではその恩恵を充分に受けることはできません。どんなに娯楽が増えても心身の健康なしでは充分に楽しむことはできません。どんなに仕事を頑張ろうとしても心身の健康なしでは充分に頑張ることはできません。やはり、何より、『健康第一』なのです。
少子化、高齢化、産業の衰退、経済の衰退などで、国の財政が厳しくなっていることは理解できますが、人々が幸せに暮らすための基本、国が衰退を脱して再生するための基本である医療の分野に対して、国がもっと理解を示して、素晴らしい日本の医療を維持するための政策を行って下さることを切に願っております。
厳しい世の中ではありますが、幸いにも、当院は、多くの方に支えられているおかげで、地域の方々に質を落とすことなく医療を提供し続けることができていると自負しております。開院以来、全てのスタッフの昇給と賞与も継続することができており、今後もそれを続ける方針です。これからも、質の高い医療を提供し続けることができるよう、努力を続けてまいります。
今年一年、本当にありがとうございました。新しい年もよろしくお願いいたします。
皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。


