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不屈の人

[2022.09.03]

 2022年9月2日で開院して1年10か月が経過しました。この日までに、6755名の新規の患者様が来院され、1669件の手術(白内障手術は1626件)を施行させていただきました。8月中はお盆休みの反動もあったためでしょうか、一日の外来患者数が午前午後合わせて100人、午前のみで70人を超える日もたびたびあり、一日の外来患者数が最多を更新する日もありました。多忙な中ですが、質の高い医療をスピーディに提供できるよう、これからもスタッフ一同頑張ってまいります。

 先日8月28日は、札幌市で北海道マラソンが3年ぶりに開催されました。私も参加を予定しておりましたが、直前に体調を崩してしまい、参加を断念いたしました。これまで、今回の北海道マラソンを最大の目標に据えてトレーニングを重ねてきましたので、本当に残念な気持ち、悔しい気持ちでいっぱいです。北海道マラソンは、夏の高い気温の中、比較的厳しい制限時間(今年からやや緩和されています)の設定で、日陰の無い中まるで灼熱地獄のように直線道路が延々と続く新川通りを往復する過酷な大会ですが、その分大きな達成感の得られる大変魅力的な大会です。しかもコロナ禍と昨年の東京オリンピックの日程の影響で中止が続き3年ぶりの開催となっていましたので、私の中でもひときわ強い思い入れがありました。来年こそは是非とも参加して今回の無念を晴らしたいと思っております。

 悔しい気持ちの中でふとある人の姿を思い浮かべました。それは、私が普段朝のランニングを行っている際に毎回見かけるご高齢の女性の姿です。その方は足腰が決して強くないご様子で、おそらくはご家族と思われる方に寄り添われながら歩道をゆっくりと一歩一歩歩いて行かれます。それは寒さの厳しい真冬も休むことなく続きます。トレーニングまたはリハビリとして続けられているものと想像しますが、私自身、真冬の早朝のランニングはあまりの寒さに毎回心が折れそうになりますが、何とか心を奮い立たせて行うのが実際のところです。高齢になればなるほど寒さは身に沁みるでしょうから、くる日もくる日もトレーニングを続けられるその方の心の強さには本当に頭の下がる思いです。その方がどちらのどなたなのかはわかりませんが、私は心の中でその方のことを“不屈の人”と勝手に呼ばせていただいております。“不屈の人”からは年齢を重ねることによって全ての人に押し寄せる衰えに打克って強く生きていこうとする強いエネルギーを感じさせられます。

 日頃の診療においても、かなりご高齢な方であっても白内障の手術を受けて“よく見える”を取り戻したいという方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々からは、ご高齢であってもまだまだ強く生きていきたいという強い気持ち、パワー、エネルギーを感じます。その気持ちを感じ取ることで、私自身もその期待に何としても応えたいという強い気持ちが沸き起こってきます。

 最近は、高齢者の医療費が膨らんでいることで、高齢者の医療にお金をかけるくらいなら未来ある若者にもっとお金をかけるべきといった声もよく耳にするようになりましたが、私個人としては、そのような考え方は間違っていると考えております。これまで一生懸命働いて国を地域を支えてきた高齢者に手厚い医療を施して少しでも充実した余生を送っていただけるような優しい世の中であってほしいと思っており、そのような思いを抱きながら日々の診療を行っております。“不屈の人”の心の強さには到底及ばない私ですが、これからも強い心であきらめることなく様々なことに挑戦し続けたいと思っています。

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