新しい『ものもらい(霰粒腫)』の治療
皆さんは、『ものもらい』をご存じですか。
多くの方は、これまでに一度や二度は聞いたり見たりされたことがあるのではないでしょうか。
『ものもらい』は医学用語では、『霰粒腫(さんりゅうしゅ)』および『麦粒腫(ばくりゅうしゅ)』と言います。
北海道では、『めっぱ』と言ったりもしますが、日本の他の地域では、『めぼ』とか『めばちこ』と言ったりもするそうです。私が以前住んでいた広島県福山市では、確か『めぼ』と言う方が多かったと記憶しています(福山市のクリニックで診療を行う中で、患者さんから『めぼ』という言葉を初めて聞いたときに、何のことかわからず、スタッフさんに教えていただいた思い出があります)。
涙の水分が蒸発しないように涙の表面は薄い油の層でおおわれています。その油は、まぶたの中にあるマイボーム腺というところから分泌されますが、『ものもらい』のうち『霰粒腫(さんりゅうしゅ)』は、そのマイボーム腺が詰まり、油がマイボーム腺の中に溜まって風船のように膨らんで「しこり」ができた状態のことです(『麦粒腫(ばくりゅうしゅ)』は、マイボーム腺の中に細菌が入り込んで増えてしまい「しこり」ができた状態のことで、成り立ちが異なり、霰粒腫に比べて直りが早い傾向にあります。)。
霰粒腫(ものもらい)は、自然に治ってしまうことが多いのですが、治療としては、まずは点眼液や軟膏による治療を行い、改善が見られない場合は、ステロイドという薬剤の注射を行ったり、メスで切開を行うのが一般的ですが、切開に代わる新たな治療法として、集中制御パルス光療法(Intense Pulsed Light : IPL)があります。
霰粒腫に対して、IPL(Intense Pulsed Light)という光を照射することで、患部に温熱効果と抗炎症効果をもたらし症状を改善することができます。
霰粒腫に切開を行う場合、切開の際に生じる出血、切開後の痛み、瞼の腫れなどが生じることは、どうしても避けられませんが、IPLは、それらのことが生じないことが大きな利点です。
当院では、オホーツク管内で初めて、霰粒腫に対するIPL治療を導入いたしました。
1回の治療で効果が不十分な場合は、2~4週間の間隔で、複数回の治療を行います。※治療効果や治療間隔、治療回数には個人差があります。
尚、IPLは自費診療となります。
霰粒腫に対するIPL治療費用(診察料・検査料込み) | |
1回 | 5,000円(税込み) |
日頃、多くの患者さんに対して手術による治療を行っている立場ですが、医療の究極の形は、「患者さんの体をできるだけ傷つけずに病気を治すこと」、「病気になることを予防すること」だと思います。
これからも、故郷の方々が少しでも肉体的・精神的苦痛の少ない眼科医療を受けられるよう、安全で良質な眼科医療を積極的に取り入れていきたいと考えております。