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スマートフォンの衝撃

[2025.05.07]

 2025年5月2日で、開院して4年6か月が経過しました。この日までに、13445名の新規の患者様が来院され、4176件の手術を施行させていただきました。

 先日、およそ5年ぶりにスマートフォンを買い換えました。

 私が愛用しているのは、アップル社のアイフォンですが、スマートフォンの技術も年々進化し続けていますので、様々な改良が施され、新たな機能がどんどん増えています。

 スマートフォンの買い替えも、かなりお金がかかる話になるので、新製品が出るたびに買い替えというわけにはいきませんが、今回思い切って、アイフォン12からアイフォン16に買い換えました。

 今回の久しぶりの買い替えで、衝撃を受けた新機能があります。それは、『画面との距離』という機能です。

 この機能は、スマートフォンを30cm未満の近い距離で長時間見続けると、スマートフォンがそれを検知して、『iPhoneが近すぎる可能性が近すぎる可能性があります iPhoneを腕を伸ばした位置まで離して使うようにすると、視力を守ることができます。』という画面に切り替わり、見ていた画面を見続けることができなくなり、距離を離すと元の画面に戻るというものです。

 昨今、世界中で子供の近視が爆発的に増加しています。その原因の一つにスマートフォンなどのデジタル機器や携帯ゲーム機などの長時間の使用が挙げられています。

 当ホームページにおいても、以前から、子供さんの近視の進行の対策として、『普段の生活においては、「1日2時間以上屋外で過ごすこと」や「読書・スマホなどの近くを見る作業は30センチ以上の距離を保ち、20分に1回20秒程度は遠く(20フィート(6メートル)以上)を見ること(20-20-20ルール)」などが、近視を予防するために推奨されています。』といった記載をさせていただいておりましたが、まさにその対策をスマートフォンが自動的に行ってくれることに、衝撃を受け、感動を覚えました。

 スマートフォンを作る企業も、やはり商売ですので、できるだけ多くのスマートフォンを売り、売り上げを増やして利益を得ることが大きな目的の一つであることは当然のことではありますが、その中で、子供の近視を予防するということも考えてくれていることは、尊敬に値すると思いました。

 企業というものは、社会貢献に対しての対価として収入を得るというのが本来の姿であります。世の中にたくさんの企業が存在する中で、いつしかその順序を間違え、収入を得ることが第一の目的となり、社会貢献は二の次となっている(社会貢献をしているフリをしている)企業も散見されます。しかしながら、そういった企業は、一時的に利益を上げても最終的には持続することはできず、衰退の末路をたどるということは、歴史が証明しています。

 アップル社は、昔から、独創性が突出している印象で、それまで誰も考えていなかった、あるいは考えていたとしても実現することのできなかったアイディアを世界に先駆けて次々と製品化して世に送り出してきた企業ですが、今回のスマートフォンにおける『画面との距離』の機能にも、世の中に役に立ちたいという企業理念の一端が垣間見えたような気がしました。

 また、アップル社が『画面との距離』の機能を製品化する前段階には、デジタルデバイスによる近視化の弊害を強く訴え続けた眼科医や研究者の方々の尽力もあったはずです。そのことにも敬意を持たずにはいられません。

 デジタル機器は、弊害があるとはいえ、世の中において切り離すことのできない、なくてはならない存在になっていることは事実としてありますが、『画面との距離』の機能によって、強度の近視になる子供が一人でも減り、将来的に重度の眼疾患に陥る人が一人でも少なくなってくれることを祈っております。

 ちなみに、『画面との距離』の機能が世に出てきたのは、2023年10月ごろなのだそうで、私自身、勉強不足で、その存在に今更ながら気づいたことを情けなくも思っております。

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