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新しい多焦点眼内レンズ『テクニス オデッセイ』

[2024.11.17]

 白内障手術において、白内障を取り除いた後に眼内に眼内レンズ(人工水晶体)を挿入しますが、現在、眼内レンズには様々な種類のものが存在します。

 眼内レンズには、『単焦点レンズ』と『多焦点レンズ』が存在します。

 『単焦点レンズ』は、眼鏡をかけない裸眼の状態でピントが合う範囲が狭い(遠方か中間か近方かのいずれか)タイプのレンズですが、それ以外の距離も眼鏡をかければ鮮明に見ることができ、保険診療で挿入ことができます。

 『多焦点レンズ』は、眼鏡をかけなくても遠方から近方まで幅広くピントを合わせることができるタイプのレンズですが、単焦点レンズに比べ、鮮明さがやや劣り(コントラスト感度の低下)、夜間光がにじんで見えてしまう(ハロー現象・グレア現象)という欠点があり、かつ保険診療で挿入することはできず、各眼数十万円の追加料金が必要(選定療養)となります。

 最新のデータでは、我が国において、白内障手術を受けた全患者さんのうち、『多焦点レンズ』を挿入された患者さんの割合は4%です。

 さらに、『多焦点レンズ』にも様々な種類のものが存在し、毎年のように各メーカーから新たなレンズが発売されてております。

 そのような状況の中で、今年11月にエイエムオー・ジャパン社から、新しい多焦点眼内レンズ『テクニス オデッセイ』が発売となり、当院でも採用となりました。

 『テクニス オデッセイ』は『連続焦点型』というタイプで、遠方から中間、近方と幅広く裸眼でピントを合わせることができ、かつ各距離間のピント合わせの移行がなだらかであるとされています。

 『連続焦点型』の多焦点レンズは、これまでも同社から『テクニス シナジー』というレンズが発売されておりますが、患者さんによっては、多焦点レンズの欠点であるハロー現象とグレア現象をやや強く感じる場合があると言われておりました。

 『テクニス オデッセイ』は『テクニス シナジー』をさらに進化させ、多焦点レンズの欠点であるコントラスト感度の低下やハロー現象、グレア現象を軽減させることができたされています。

 さらに細かいお話になりますが、多焦点レンズは単焦点レンズと違い、レンズに“木の年輪のような”細かい溝が幾重にも刻まれ、それによって遠くから近くまで幅広く裸眼でピントが合わせられる仕組みになっています(下に単焦点レンズと多焦点レンズの写真を掲載しています。)。しかしながら、眼球の中に入ってきた光はレンズに刻まれた何重もの溝にぶつかり散乱してしまうため、鮮明さがやや劣り(コントラスト感度の低下)、夜間光がにじんで見えてしまう(ハロー現象・グレア現象)という多焦点レンズの欠点が生じてしまうのです。

 『テクニス オデッセイ』はレンズに刻まれる各溝をなだらかにすることに成功し、コントラスト感度の低下、ハロー現象、グレア現象が軽減できたとのことです(しかしながら、コントラスト感度の低下、ハロー現象、グレア現象が全くなくなるというわけではありません。いかなる多焦点レンズを用いても、決して若い頃の見え方に戻るわけではないという認識はとても大切です。)

 多焦点レンズは、白内障手術を受けることを機に、裸眼で特に近方が見えづらくなるいわゆる老視・老眼を軽減することに寄与することが可能な眼内レンズですが、今回、また新たなラインナップが加わりました。

 ご興味のある方は、随時、当院を受診され、問い合わせください。

単焦点眼内レンズ(レンズの部分に溝が刻まれていません)

多焦点眼内レンズ(レンズの部分に“木の年輪のような”溝が刻まれています)

 

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